アップダウンサーブとは?同じ構えから打ち分けるコツと見分け方を解説

「きれいな下回転サーブは出せるけど、相手に簡単に見破られて返されてしまう」

そんな経験はありませんか?
その一方で、「同じフォームから出されたはずのサーブをレシーブしようとすると、あるときはボールが浮き、あるときはネットに引っ掛けてしまい、サービスエースを取られた」

という場面もあるのではないでしょうか?

アップダウンサーブは同じフォームに見えて、実はまったく異なる回転をかける高度なサービステクニックです。

アップダウンサーブは回転量こそ多くありませんが、同じ構えから上回転と下回転を打ち分け、相手に判断させない見分けにくさで勝負するサーブです。

この記事では、サーブのフォームを大きく変えずに回転を打ち分ける具体的なコツと、相手に出されたアップダウンサーブの見分け方を解説します。

あなたもアップダウンサーブを武器にし、ここぞという1本を手に入れましょう。

アップダウンサーブとは

アップダウンサーブとは、一見するとまったく同じスイングに見えるフォームから、上回転(アップ)と下回転(ダウン)を打ち分けるサーブの総称です。

言い換えれば、「相手に回転を判断させない」ための欺きのサーブ。

一般的なサーブは、上回転なら下から上へ、下回転なら上から下へとラケットを動かすため、スイングの軌道を見れば回転をある程度予測できます。

しかしアップダウンサーブは、縦方向のスイング軌道を大きく変えず、インパクトの当て方やラケット角度のわずかな差で回転を打ち分けます。

そのため、見た目からは回転の違いがわかりにくくしているのです。

このサーブの最大の特徴は、回転量で勝負するのではなく、相手の判断を狂わせる点にあります。たとえ回転量が多くなくても、相手が「下」と判断した瞬間にわずかに「上」が混ざっていれば、ボールは浮き、あるいはオーバーミスにつながります。

アップダウンサーブの本質と効く理由

アップダウンサーブが強力な武器になる理由は、人間の脳が持つ予測機能を逆手に取っていることです。

レシーバーは無意識のうちに、相手サーブのラケット角度、スイング軌道やスピードなどから回転やスピード、コースなどを予測し、行動しています。

アップダウンサーブの凄みは、インパクト前後の以下の3つの動きの違いを最小化し、一致させることによって、相手の判断ミス、あるいは判断の遅れを引き起こすことにあります。

  • トスからインパクト直前までの動き
  • 打点
  • インパクト後のフォロースルー

例えば、強烈な下回転とわかっているサーブの場合、レシーバーは迷わず角度を合わせてツッツキやストップレシーブをします。上回転であれば、ラケットを被せます。

しかしアップダウンサーブの場合、相手は「上かもしれない、下かもしれない」という判断があいまいになり、疑念を抱いた状態で打たなければならないため、下記のような状態に陥りやすくなります。

  • 迷った瞬間に面が開きやすくなる
  • 上回転だと思って面を被せればネットに引っかかる
  • 回転が読めないサーブに対し、レシーブが甘くなりやすい

つまり、アップダウンサーブの鍵はサーブテクニックというより「演出力」にあります。

アップダウンサーブの名手に学ぶ極意

アップダウンサーブの成否を分けるのは、「回転量」ではなく「同じに見せる精度」です。

名手ほど、トスからインパクト直前までの準備と、インパクト後のフォローを「同じ映像」にし、回転方向の違いは一瞬のボールの当て方だけに絞っています。

吉村真晴選手のアップダウンサーブ

吉村真晴選手は、世界的に見てもアップダウンサーブの使い手として知られています。

YGサーブのフォームから繰り出される吉村真晴選手のアップダウンサーブは、トスアップから打球点までの軌跡がほぼ同じです。見た目の情報を極力同じにし、インパクトの瞬間だけで回転を生み出しています。

下回転でも上回転でも、同じ高さ、同じタイミングでインパクトしています。ボールのどの部分を擦るかを意識しながら巻き込むような動作をし、インパクトの瞬間をわかりにくくしているのが特徴です。

そしてインパクト後の下に抜けるフォロースルーもまったく同じにすることで、フォロースルーからの回転方向を判断しにくくさせています。

このような動作によって、上回転だろうが下回転だろうが「同じに見える」という演出を行い、レシーバーに迷いを生じやすくさせています。

福岡春菜選手のアップダウンサーブ

王子サーブの名手として知られる福岡春菜選手は、王子サーブ以外にも多彩なサービス技術を持っており、アップダウンサーブの名手としても知られていました。

福岡春菜選手は上から下、下から横へとラケットを振り抜く巻き込みサーブ動作の中で、インパクトの瞬間のタイミングとラケット角度を僅かにずらすことによって回転を変えていました。

上から下に振り抜いているのだから、下回転だろうという先入観でラケットを出そうとすると、実は上回転で手元で伸びてきます。次も上回転だろうと判断し、面を被せると今度は下回転で、ネットに引っ掛けたりします。

上回転も下回転もどちらも同じ高速ロングサーブの軌道で飛んでくるのも特徴で、相手に判断する時間を与えない点も武器です。

福岡春菜選手はこのようにして、多くの世界のトップ選手たちからサービスエースを取ってきました。

両者の共通点

YGサーブのアップダウンと巻き込みサーブのアップダウンで、一見すると異なるスタイルに見えるサーブですが、その本質には明確な共通点があります。

下記のようなインパクトの瞬間以外の動作をまったく同じにすることです。

  • トスの高さ
  • 足の踏み込み具合
  • 打球点
  • フォロースルー

相手に見える部分はできる限り揃え、異なっているのはインパクトの一瞬だけ。違いが現れる部分を超高速処理して見えにくくさせています。

バウンドの低さやタイミングも徹底して揃えており、どちらの回転か分からない状態を作り出している点も、名手の共通点です。

アップダウンサーブを武器にする

アップダウンサーブを実戦で武器にする鍵は、「同じに見せる範囲」を先に決め、変えるのはインパクトの一瞬だけに限定することです。

まずは自分が得意な基本フォームの中に、アップダウンサーブを出すエッセンスを組み込みます。

ここでは、トップ選手の多くが採用しているYGサーブや巻き込みサーブに取り入れる方法を紹介します。

アップダウンサーブは高度なサーブ技術です。繰り返し練習し、感覚を染み込ませてください。

YGサーブ方式

YGサーブは手首を内側に曲げた状態から外側に弾くように、懐から出されるサーブです。

手首を使って回転を生み出していると思われがちですが、実際には肩主導で振り、手首は必要以上に使わないのがポイントです。

打球点は体の近く、懐の深い部分で捉えます。

このYGサーブにアップダウンの要素を取り入れることで、相手にとっては横回転の判断だけでなく上下の判断までしなければならないという負荷がかかることになります。

上回転
ラケットを上から下へ下ろす時に、グリップよりでボールを捉え、面を少し被せて少し前へ押し出すように上回転をかけて打ちます。打った後は必ず下回転を打ったと思わせるようなフォロースルーを入れ、相手を惑わせるようにします。

下回転
上から下へラケットを振り下ろす時に、ラケットの先端でボールを捉え、ボールを上から下へとしっかり擦ります。打った後はもちろん、上回転の時と同じフォロースルーを入れます。

巻き込みサーブ方式

巻き込みサーブは、手首を内側に巻き込むようにして出すサーブで、YGサーブ同様フェイクモーションを加えやすいサーブです。

巻き込みサーブはラケットを大きく振り上げた状態から、叩き切るように振り下ろし、巻き込むようなフォロースルーを取るのが特徴です。

上回転の時も、下回転の時も、フォロースルーは必ず同じにします

下回転
ラケットのグリップ近くでボールを捉え、ボールを上から下へ叩き切るようにして回転をかけます。インパクトの後はラケットを横へ抜く巻き込みサーブのフォロースルーをとります。

上回転
インパクトの直前にラケットの面を被せ、カウンターをする感覚でボールを打ちます。打ったらすぐにラケットの面を戻し、下回転の時と同じフォロースルーをします。

なぜバレる?見破られる人の共通点

アップダウンサーブが見破られてしまう人は、回転をかけようとするあまり、上下でフォームのどこかにズレが生じています。

自分では同じフォームのつもりでも、レシーバーから見れば身体全体から発せられる微細な違和感を察知しています。

打球点の高さ

最も多い失敗は、上回転と下回転で「ボールを捉える高さ」が変わってしまうことです。

一般的に、下回転は下をこすろうとするイメージがあるため打球点は低くなり、上回転を出そうとするとラケットを上から被せるために打球点が高くなりがちです。

このわずか数センチの差が、相手の目には大きな違いとして映り、「高いから上」「低いから下」という決定的な判断材料になってしまいます。

目線

意外と盲点なのが、自分自身の目線です。

下回転を出すときは、しっかり切りたいという意識から打球点を凝視し、上回転のときは、出した後の展開を急ぐあまり、インパクトの瞬間に目が離れて相手コートを見てしまう傾向があります。

熟練したレシーバーは、あなたの「目の動き」だけで回転を予測しています。

どんな回転のサーブでも基本は、目線の運びを固定することです。

例えば、インパクト直前までネットの向こう側やコートの端を見つめるといった具合です。そしてサーブを打った後は、同じタイミングで相手を見るようにします。

フォロースルー

打った後のラケットの動きが止まったりしていませんか?

下回転を出したラケットが下で止まり、上回転を出した後は上へ抜けたままになっていては、レシーバーに答えを見せているようなものです。

これでは、インパクトの瞬間が見えなくても、回転はバレバレです。

アップダウンサーブの成功率は、回転をかけた後の偽装されたフォロースルーをいかに共通化できるかにかかっています。

アップダウンサーブの見分け方

アップダウンサーブを見分ける際、最も重要なことはラケットの動きに惑わされないことです。

名手ほどインパクト前後の動作に差異がなく、振りの方向だけで判断すると、面白いように逆を突かれます。

やはり基本はインパクトの瞬間を見逃さないことです。ほんの一瞬とはいえ、インパクト時のラケット角度は最も重要な判断材料です。ほんの僅かでも被せていれば、上回転の可能性が高いです。

とはいえ、インパクトを完全に見るのは困難ですので、バウンド後の伸びを注視します。

上回転はバウンド後、手元に向かって加速するように伸びてきますが、下回転はブレーキがかかったように失速します。

アップダウンサーブに限らず、サーブの回転を見極めるには、単一のポイントに頼るのではなく、複数の情報を総合的に見て判断してください。

相手がどれだけ「同じように見せる」努力をしていても、どこかに必ず微妙な「ズレ」があります。そのズレを感知する目を養うことが、見分け方の上達に繋がります

まとめ:アップダウンサーブは「回転」ではなく「演出」である

アップダウンサーブの本質は、強烈な回転を打ち分けることではなく、単に相手の判断を遅らせたり、見誤らせたりする演出力にあることがおわかりいただけたでしょうか。

たとえ下回転がそれほど切れていなくても、相手が上回転と判断してレシーブをすれば、ネットに引っかかります。上回転を相手が下と判断すれば、オーバーミスをしたりチャンスボールになったりします。

吉村真晴選手や福岡春菜選手のような名手たちは、インパクトの瞬間だけでなく、サーブの構えから打球後のフォロースルーに至るまで、全ての動作を一つの物語として演出し、世界のトップ選手たちを翻弄しています。

卓球は、一球のサーブから始まる心理戦です。

アップダウンサーブを身につけ、ここぞという時にサーブで相手を騙して主導権を握りましょう。

 

 

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